中電圧車載アーキテクチャ用48Vコネクタの選び方
DigiKeyの北米担当編集者の提供
2024-07-18
政府によるCO2排出量削減の義務化と、車載エレクトロニクスに対する消費者の需要により、12V車載システムからより効率的な48Vアーキテクチャへの移行が進んでいます。これらの中電圧アーキテクチャにより、さらに高い電力供給と、より軽量で低コストのワイヤハーネスが実現します。
設計者にとっての問題は、コネクタが48Vシステムの厳しい電気的要件、安全性要件、信頼性要件、物理的要件を満たし、同時にコストと市場投入までの時間制約も満足することです。その解決策は、中電圧車載アーキテクチャの運用要件、規制要件、安全要件について理解を深めてから、適切な仕入先を選定することです。
この記事では、48Vアーキテクチャの利点を確認し、適切なコネクタを選択する際の課題について概説します。その後、Molexの適切なソリューションを紹介し、これらのソリューションが実際のシナリオにどのように適用されるかを説明します。
車載用48Vアーキテクチャがもたらす利点
自動車メーカーは、中電圧アーキテクチャに移行することで、ブレーキ時や惰性走行時にエネルギーを回収するマイルドハイブリッドシステムを導入することができます。また、市街地走行時や渋滞時の燃料消費を抑える、より強化されたスタートストップシステムを導入することも可能です。さらに、電圧が高いため、軽量で細いゲージのワイヤを使用して同じ電力をより低い電流で供給することができます。そのため、48Vシステムで車両重量を減らすことができるのです。これらの要素はすべて、特に小型車では大幅な燃料節約につながります。
また、パワーステアリングやエアコンなどのコンポーネントの電動化、適応走行制御(ACC)やレーンキーピングアシストなどの先進運転支援システム(ADAS)の採用にも対応するため、より高出力のワイヤハーネスが必要となります。48Vアーキテクチャへの移行により、フルハイブリッド電気自動車(HEV)やバッテリ電気自動車(BEV)で使用される高電圧システム(400V以上)に関連するコストや複雑さを伴わずに、このニーズを満たすことができます。
また、48Vアーキテクチャは自動車の電動化拡大を橋渡しする役割も果たし、電気系統を全面的に見直すことなく、ハイブリッド技術を段階的に統合できるようになります。このような中電圧システムは、Cybertruckなどの設計に組み込まれていることからもわかるように、完全な電気自動車であっても価値を保ち続けるでしょう。
48Vコネクタのコストに関する考察
どの電気接続システムを48Vアーキテクチャに使うべきかという疑問には、電圧の上昇によって生じる技術的課題に注目することで答えられます。
電気自動車やハイブリッド車用に開発された高電圧コネクタを採用することは技術的に可能ですが、コストやパッケージスペースの問題があるため望ましくありません。対照的に、12Vコネクタを中電圧アーキテクチャに適合させることは、コスト的にもサイズ的にも魅力的な提案となります。
すべての車両システムが48Vに切り替わるわけではないことは注目に値します。消費電力の少ない一部の小型機器は、12Vのまま残ります。そのため、12Vと48Vのシステムで一貫したコネクタを使用することは、ツーリングや技術者のトレーニングを簡素化するために有効です。
MolexのMX150中電圧コネクタシステム(図1)は、これらの設計原則を実証します。このコネクタは、現場で実績のある低電圧のMX150コネクタと共通のフォームファクタです。12Vのコネクタシステムと同じパッケージサイズとハウジング設計を使用することで、MX150中電圧コネクタは、最小限の設計エンジニアリングで48Vの配線アーキテクチャに簡単にアップグレードできます。
図1:MX150中電圧コネクタシステムのコネクタは、現場で実績のある低電圧のMX150コネクタと共通のフォームファクタです。(画像提供:Molex)
MX150中電圧コネクタシステムは現在、図1に示すように5種類の構成で提供されています。これには、2列の33482ブレードコネクタと、対応する2列の300361レセプタクル、単列の300363が含まれます。
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表1:MX150中電圧コネクタシステムの主な仕様(表提供:Molex、Kenton Williston氏による修正あり)
48Vコネクタに関する安全上の注意
12Vは中電圧コネクタの出発点としては良いのですが、48Vに移行する際の課題は些細なことではありません。特に懸念されるのはアーク放電です。
12Vシステムで回路が遮断されると、小さなアークは通常すぐに消えます。しかし、48Vではアークが長く続き、端子やハウジングに深刻な損傷を与える可能性があります。このリスクを軽減するには、低電圧システム内の機器の絶縁調整を規定するDIN EN 60664-1に概説されている沿面距離とクリアランスの要件を満たすように、端子の間隔を十分にとる必要があります。
沿面距離とは、絶縁面に沿った2つの導電点間の最短経路を指し、クリアランスとは、導体間の最短空中距離を示します。これらの仕様は、過電圧範囲の上限である60Vまでの保護を保証するために極めて重要です。
効果的な二次端子ロックは、低速または断続的な電源切断の原因となる端子プッシュアウト(TPO)を防止するためにも不可欠です。このような断線は微細なアーク放電を引き起こし、メッキを損傷させたり、端子の母材を損なったりして、高抵抗や溶接接続につながる可能性があります。
また、コネクタのシーリングにも注意が必要です。48Vコネクタを塩水などの電解液にさらすと、12Vコネクタの場合よりも激しい電気化学反応を引き起こす可能性があります。このような損傷や短絡を防ぐには、適切な汚染度(通常はUSCAR-2シーリングクラス2以上)を満たすコネクタを使用することが極めて重要です。
図2は、これらの設計原則が20回路で2列の中電圧メス型レセプタクル3003610011にどのように実装されているかを示します。対応するオスコネクタは0334822423です。
図2:MX150中電圧コネクタシステムには、安全で信頼性の高い接続を保証するためのいくつかの機能が組み込まれています。図に示す3003610011は、20回路で2列のメス型レセプタクルです。(画像提供:Molex)
MX150コネクタは、コネクタハウジング、シール、端子位置保証(TPA)コンポーネントがあらかじめ組み込まれているため、設置やメンテナンスを効率化できます。図2に示すコネクタの主な特長は、以下の通りです。
- TPAで端子をハウジングに確実にロックし、外れを防止する
- 二次的なコネクタ位置保証(CPA)ロックで確実な接続を保証し、激しい振動や衝撃による不慮の外れを防止する
- 水中でも安全な性能を保証するマットとリングの一体型シールにより、個別のケーブルシールが不要となる
- グロメットキャップでマットシールの保護を強化し、端子の正しいアライメントを保証して接続の完全性を維持する
混合電圧設計の考慮点
混合電圧システムでは、中電圧回路と低電圧回路の間に電流が流れるのを防ぐために、特別な注意が必要です。最も効果的な戦略は、電圧レベルごとに別々のコネクタを使用し、同じコネクタ内で両方の電圧が統合されるのを避けることです。また、自動車業界では、48Vコネクタを12Vコネクタと明確に区別するために水色のカラーコードが採用されています。
この色分けの起源は電気フォークリフトにさかのぼり、そこでは長い間、さまざまな電圧のバッテリが使用されてきました。ミスを防ぐためにカラーガイドラインが制定され、さまざまな業界で48Vコネクタに青色が広く採用されるようになったのです。
このシステムは、高電圧システムを示すオレンジ色のコネクタや配線の使用と連動しています。このカラーコーディングにより、特定の安全予防措置が必要なコンポーネントが明確に示されるため、適切な安全トレーニングと個人用保護具(PPE)なしで取り扱われることがなくなります。
製造と保守性の考慮事項
中電圧コネクタにはアーク放電のリスクがあるため、信頼性の高い製造と保守ができるように設計する必要があります。この要件はUSCAR-21で規定されており、車載用途におけるケーブルと端子の電気的圧着の試験方法と基準が明記されています。
USCAR-21の重要な要素は引張試験であり、これは圧着接続部に一定の引張速度を適用して引張強度を評価するものです。この試験により、圧着部が耐用年数中に直面する機械的ストレスに耐えられることが保証されます。この仕様では、圧着時に正確なツーリングとプロセス設定を使用する必要性も強調されています。
さらに、General Motorsが策定した包括的な規格であるGMW3191に認定されたコネクタを探すことが推奨されます。この規格では、厳しい条件下での信頼性と耐久性を確認するために、車載用電気コネクタの試験要件と検証要件が概説されています。
Molex MX150のアセンブリとサービスに関する考慮事項
コネクタアセンブリを完成させるには、まず配線を終端する必要があります。たとえば、MX150オスコネクタアセンブリの場合、ワイヤハーネスは330000001ブレードで終端する必要があります。同様に、配線は33001または33012シリーズのメス型レセプタクル用角形コネクタコンタクトで終端する必要があります。
いずれの場合も、終端したワイヤは、固定されるまでコネクタに押し込まなければなりません。回路位置を空けなければならない場合は、オス側のギャップを343450001キャビティプラグで埋めてください。
この終端プロセスを支援するために、Molexは0638115900手動圧着工具を提供しています(図3)。このデバイスにより、ワイヤとブレードまたは長方形コンタクトが確実に接続されます。
図3:0638115900手動圧着工具は、ワイヤとブレードまたは長方形コンタクトを確実に接続します。(画像提供:Molex)
コネクタの整備には、専用器具も用意されています。0638131500引き抜き工具(図4)を使うと、アセンブリの残りの部分を損傷することなく、コネクタからワイヤを取り外すことができます。
図4:0638131500引き抜き工具を使うと、アセンブリの他の部分を損傷することなく、コネクタから任意のワイヤを取り外すことができます。(画像提供:Molex)
まとめ
自動車メーカーとその仕入先は、中電圧アーキテクチャに移行する際に、低電圧技術に基づくコンポーネントを使用することでメリットが得られます。48Vへの移行は、安全性と信頼性に新たな懸念をもたらしますが、規格に注意し、堅牢なロック機構とシール機構を組み込んだコネクタシステムを選択することで、これらの懸念に容易に対処することができます。48Vコネクタシステムを選択する際には、包括的なポートフォリオ、実績、関連するツーリングを有するベンダーを探すことが推奨されます。
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