統合された高度なセンサによる最新建物向けIAQ(室内空気質)監視技術の開発
DigiKeyの北米担当編集者の提供
2026-01-20
家庭、オフィス、学校において、人々は多くの時間を屋内で過ごしています。米国環境保護庁(EPA)によれば、アメリカ人は1日の約90%の時間を屋内で過ごしており、屋内の汚染物質濃度は屋外に比べて2~5倍高いとされています。EPAによれば、室内空気質(IAQ)に影響を与える汚染物質の大部分は建物内部で発生していますが、一部は外部から侵入する可能性があります。
空気の質は人間の健康と幸福に直接関わるため、室内空気室(IAQ)の監視はますます重要かつ一般的になっています。規制要件の強化も、空気質センサ技術の進歩によって可能となったこれらのソリューションへの関心をさらに高めています。
屋内および屋外の汚染源
屋内の空気汚染の代表的な原因には、タバコの煙、燃料燃焼器具、薪や石炭を燃やす暖炉、建材資材や家具、さらに洗浄剤、塗料、芳香剤などの家庭用品などがあります。煙や火災は一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)を直接屋内の環境に放出しますが、家庭用品は揮発性有機化合物(VOC)を含むさまざまな化学物質を直接屋内の空気中に取り込む可能性があります。
相対湿度(RH)と温度も、人の快適性、健康、および空気中の他の汚染物質のレベルに影響を与えるため、重要なIAQパラメータと考えられています。
屋外からは、煙突からの煙などの大気汚染物質が、窓や換気システム、構造物の隙間などから家屋に再侵入する可能性があります。また、建物の基礎から発生するラドンも、ひび割れや隙間から侵入する可能性があります。水道水に含まれる揮発性化学物質も、居住者がシャワー、調理、清掃に水を使用する際、屋内の空気を汚染する可能性があります。さらに、人が建物に入るときには、靴や衣服に付着した土やほこり、そしてそれらに付着した汚染物質を不注意に持ち込んでしまうことになります。
加えて、屋内の空気には、人や動物、植物によって生み出されるウイルスや細菌、動物のフケ、ハウスダスト、ダニ、花粉などの生物学的汚染物質も存在します。
大気汚染による健康被害
良好な空気の質は、人間の健康にとって極めて重要です。空気の質が悪いと、呼吸器系疾患から疲労やアレルギー、さらには目、鼻、喉の炎症に至るまで、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。屋内の空気汚染物質に関連するその他の深刻な健康問題は、心臓病やがんです。
ラドン、CO、レジオネラ菌などの一般的な屋内の汚染物質と健康被害との関連性は、十分に立証されています。たとえば、ラドンは人体への発がん物質として知られており、非喫煙者の肺がんの主な原因となっています。屋内環境において高濃度のCOに短期間さらされることも、致死的となる可能性があります。さらに、レジオネラ菌によって発症する肺炎の一種であるレジオネラ症は、空調または暖房設備、温水浴槽、配管などの維持管理が不十分な建物と関連していることが確認されています。
健康的な建築基準と順守
IAQの監視と維持管理の指針として、これまで数多くの基準が策定されてきました。これらは、住宅および商業施設の所有者の双方にとって、居住者の健康を確保するためには、これらの基準を可能な限り順守することが重要です。
こうしたガイドラインは、米国環境保護庁(EPA)、世界保健機関(WHO)、労働安全衛生局(OSHA)、米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)、WELLビルディング協会などの機関が提供しています。良好なIAQを監視、維持するシステムを要求する有名な建築基準としては、カリフォルニア州エネルギー委員会が策定したカリフォルニア州タイトル24(CA24)や、米国グリーンビルディング協会(USGBC)によるエネルギーと環境のデザインにおけるリーダーシップ(LEED)評価システムなどがよく知られています。特にRESET Air基準は、重要なIAQパラメータのリアルタイムデータ駆動型測定に焦点を当てた、IAQ監視および認証における世界的に認知された基準です。
大気汚染を正確に監視するオールインワンセンサ
Sensirionのようなセンサメーカーにとって、関連する建築基準に準拠することは市場の期待に応えるために必須です。その結果、RESET、WELL、CA24、LEEDに対応した製品を設計、製造しています。さらに、IAQパラメータの監視に複数のセンサを必要とする従来の製品とは異なり、SensirionはSEN6xセンサプラットフォーム(図1)という実装が容易な小型モジュールに統合されたソ リューションを開発することで、この作業を簡略化しました。
統合アルゴリズムを利用することで、PM1、PM2.5、PM4、PM10、RH、温度、VOC指数、NOx、二酸化炭素(CO2)、ホルムアルデヒド(HCHO)を含む最大9つの環境パラメータを測定することが可能です。
図1:オールインワンのSEN6xセンサプラットフォームは最大9つの環境パラメータを測定可能です。(画像提供:Sensirion AG)
SEN6xモジュールの主要コンポーネントは、SPS6xとして知られる小型化されたMEMS(微小電気機械システム)PMセンシングユニットです。特許取得済みの幾何学的配置、先進的なMEMS、およびパッケージング技術により、光源、検出器、信号処理、アルゴリズムを統合し、PM1、PM2.5、PM4、PM10を測定するためのコスト効率に優れた小型ソリューションを実現しています。搭載されたアルゴリズムは、散乱光を分析し、粒子のサイズ分布と質量濃度を決定します。革新的なチップスケールのPMセンシングと特許取得済みのシースフローを組み合わせることで、SEN6xセンサは超低消費電力での動作、そして比類のない防塵性能と長寿命を実現しています。
本シリーズにおける主なモデルはSEN66であり、PM、RH、温度、VOC、NOx、CO2が測定可能です。統合センサモジュールからより高速で信頼性の高い温度測定値を取得できるよう、SEN66には独自のSensirion Temperature Acceleration Routine(STAR)エンジンが実装されています。このエンジンは、最終製品が熱的に安定した状態に達する前に、動的に温度値を推定します。
アプリケーション開発向けに、SensirionはSEK-SEN66評価キット(図2)を提供しています。本キットには、複数の汚染物質を測定するためのSEN66統合センサノード、アダプタケーブル、試作用ジャンパワイヤセットが付属しています。
図2:SEK-SEN66評価キットには、統合センサモジュール、 アダプタケーブル、および接続と試作用ジャンパワイヤセットが付属しています。(画像提供:Sensirion AG)
SensirionのユーザフレンドリーなソフトウェアControlCenterを利用するには、センサとホストコンピュータ間のインタフェースを提供するSEK-SensorBridge(図3)を別途購入する必要があります。
図3:SEK-SensorBridgeはSensirionのセンサ評価用ユニバーサルインターフェースツールです。(画像提供:Sensirion AG)
SEK-SensorBridge技術ガイドでは、アダプタケーブルを用いたセンサ評価ボードとSensorBridgeの接続方法、およびUSBケーブルを介したPCとの接続方法について説明しています。
ディスクリートIAQセンサ
Sensirionでは、いくつかのディスクリートCO2、RH、および温度センサも提供しています。CO2監視には、SCD43とSTCC4(図4)の2つの注目すべきモデルが利用可能です。SCD43が光音響方式非分散赤外線(NDIR)CO2センサであるのに対し、STCC4は熱伝導式センシング技術を採用しています。次世代CO2センサと位置付けられているSTCC4は、小型電子機器に組み込めるよう、サプライヤ最小のフットプリント(4mm × 3mm × 1.2mm)を実現しています。
図4:STCC4は、小型電子機器向けに最小クラスのフォームファクタを実現しています。(画像提供:Sensirion AG)
屋内の湿度および温度パラメータを主対象とするアプリケーションには、ディスクリートSHT4xシリーズが、低消費電力で高精度を提供します。バッテリ駆動のモバイル機器向けに最適化されており、RESETおよびWELL規格にも準拠しています。
まとめ
室内空気室(IAQ) 監視の評価と応用を簡素化するため、センサ専門メーカーである Sensirionは、複数のセンサとアルゴリズムおよびソフトウェアを統合したオールインワンソリューションを開発しました。これらのソリューションにより、単一の小型モジュールを使用して、幅広い空気質パラメータを正確に測定することが可能になります。統合型センサモジュールは、コスト削減と市場投入までの時間短縮に加え、消費電力も削減します。同時にSensirionは、小型、高精度、長期安定性、および容易な統合性を特長とするディスクリートセンサも提供しています。
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