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ポートエキスパンダを使用して簡単かつ効率的にコスト効率の高い子ノードをIIoTエンドポイントに追加する

著者 Bill Giovino

Digi-Keyの北米担当編集者 の提供

産業用モノのインターネット(IIoT)アプリケーションでは、IIoTエンドポイントの特長と柔軟性は、機能面の拡張だけでなく、物理的制御領域もエンドポイントのホストマイクロコントローラから何フィートも離れた場所まで拡張しています。IIoTエンドポイントのホストマイクロコントローラから数本のI/Oピンを使用して、これらの拡張された場所に到達することができますが、I/Oラインはは距離が長くなるにつれて電磁妨害(EMI)を受けやすくなり、信頼性が低下します。別のマイクロコントローラをIIoTエンドポイントのホストマイクロコントローラの子ノードとして使用できますが、データがシンプルなデジタルI/O信号にのみ使用される場合、不必要に複雑さを増大させる可能性があります。

I/Oラインを拡張して制御を広げる代わりに、開発者はIIoTエンドポイントから分離したコスト効率の高い子ノードとしてポートエキスパンダを使用できます。

この記事では、まずポートエキスパンダの役割について説明し、それからMaxim Integratedのポートエキスパンダを2台紹介します。これらのエキスパンダは、IIoTノードのデジタルI/O機能を大幅に拡張するシリアルインターフェースにより、ホストマイクロコントローラに簡単にインターフェース接続します。これは、パルス幅変調(PWM)生成および割り込み検出などの従来の汎用I/O(GPIO)機能を維持したまま実現します。

ポートエキスパンダがIIoTネットワークに必要な理由

IIoTネットワークを計画している場合、最初のステップの1つはエンドポイントの数を決定することです。施設の残りの部分と動作を同期する必要のある各装置には、少なくとも1つのエンドポイントが必要です。例として、工場の組み立てラインが挙げられます。適切な組み立て手順を適切なタイミングで実行するために、各ステーションをアセンブリライン全体と同期する必要があります。

ただし、工場の組み立てラインのIIoTエンドポイントは、1つの物理的な領域に限定せず、代わりに配線またはケーブルを使用して、IIoTエンドポイントのホストマイクロコントローラGPIOポートを何フィートも離れた場所まで拡張する可能性があります。これは、ホストマイクロコントローラをハブとするスター構成に似ています。スターの各ポイントの終端は、メインのIIoTエンドポイントから分離された子ノードとして機能するための十分な複雑さがありますが、専用のネットワーク接続を備えた独自のIIoTエンドポイントとして構成できるほど十分に高性能ではありません。子ノードは独自のマイクロコントローラで制御されるように設計できますが、これによってシンプルなGPIOには不必要な複雑さとコストが膨らむ可能性があります。

実際の例としては、PWM信号を使用してモータを制御するIIoTエンドポイントがあります。モータが数フィート離れている場合、複数のPWM信号をモータに送信する必要があります。これにより、周辺領域のEMIが増加します。シールドケーブルを使用してPWM信号を送信できますが、これはシステムのコストを上昇させ、遠距離またはクロストークにおける位相遅延が原因のエラーを排除できません。その代わりに、I2CまたはSPIなどのシリアルバスを使用して、PWM信号を生成するモータの近くに配置されたプログラム可能なシステムにコマンドを送信できます。これらの電子機器は、必要なPWM信号を生成するようにプログラムされた子ノードになります。

子ノードに対する実用的なソリューションは、ホストマイクロコントローラへのシリアルインターフェースを介してポートエキスパンダを使用することです。ポートエキスパンダは、マイクロコントローラよりも構成がシンプルで、ホストマイクロコントローラのGPIOの到達範囲を拡張します。子ノードへの8本以上のGPIOラインを実行する代わりに、シンプルなI2CまたはSPIインターフェースを介して、ホストマイクロコントローラにより子ノードのポートエキスパンダに容易にアクセスできます。ホストマイクロコントローラでのGPIOの制御と同様に、ポートエキスパンダのレジスタへの書き込みによりGPIOを設定またはクリアし、読み込みによりGPIOの状態を返します。また、ポートエキスパンダは、PWM生成および割り込み入力を含むマイクロコントローラGPIOの機能の大部分を保持しています。

たとえば、使いやすいポートエキスパンダには、Maxim IntegratedのMAX7315AUE+Tがあります。これは、8個のGPIOおよびI2Cインターフェースを備えています(図1)。

Maxim IntegratedのMAX7315Aポートエキスパンダの図図1:Maxim IntegratedのMAX7315Aポートエキスパンダは、最大8個のGPIOが使用可能で、どのGPIOの状態が変化した場合でもホストマイクロコントローラへの割り込みを生成できる。これは、2線式I2Cインターフェースでアクセスされる(画像提供:Maxim Integrated)

MAX7315Aは8個のGPIOをサポートし、各GPIOは入力またはオープンドレイン出力として個別に設定できます。ホストマイクロコントローラは、最大400kHzで動作する2線式I2Cインターフェースを介してMAX7315Aと通信します。I2Cバス上のデバイスのアドレスは、3本のアドレスピン(図1のAD [0:2])により構成されます。デバイスはホストマイクロコントローラへの割り込みを生成することもできます。

MAX7315Aでは、たった3本のピン(2本のI2Cピンと割り込みピン)で8個のGPIOを容易に管理できます。信頼性の高いI2通信という条件が満たされる限り、デバイスはホストマイクロコントローラからどれほど離れた場所にでも配置できます。基板レイアウトおよび周囲EMIにもよりますが、400kHzで動作するシリアルクロック(SCL)では、一般的に信頼できる距離は3フィートです。100kHzのSCLでは、9フィート以上を実現できます。

ただし、周囲条件またはEMIが距離に重大な影響を及ぼさないことを確認するには、アクティブな環境でこれをテストすることが重要です。

子ノードでの割り込み検出

このデバイスはピン13でアクティブロー割り込み出力をサポートしていますが、割り込み機能が必要ない場合、ピン13を9番目のGPIOとして構成できます。割り込みは、どの入力ピンの遷移でもローになるように構成できます。これにより、ホストマイクロコントローラは、MAX7315Aをポーリングすることなく、子ノードでのアクティビティを把握できます。割り込み機能が有効にされると、入力として構成されていて割り込みが有効化されたGPIOは、割り込み入力として機能します。割り込みとして構成されたどのGPIOであっても、状態に何らかの変化があった場合は、ピン13はローになり、その変化をホストマイクロコントローラに通知します。次に、ホストマイクロコントローラは、MAX7315Aの状態を読み込み、どのGPIOの状態が変化したかを判断します。

このプロセスにより、GPIO向けのポートエキスパンダの使用から生じる割り込み機能の損失を防ぐことができます。これは、IIoTだけでなく、効率的なファームウェア動作のために割り込みを必要とするマイクロコントローラシステムでも重要です。

誤った割り込みの生成を避けるため、MAX7315Aの構成を変更する前に、割り込み機能を無効にする必要があります。

MAX7315Aは2V~3.6V電源で動作できますが、GPIOは5.5V耐性です。これにより、GPIOは2.0V、3.6V、および5.0Vデジタルシステムなどの標準ロジックレベルに対応できるようになります。オープンドレイン出力として構成された各GPIOは、ロジックハイレベルで最大50mAを供給できます。出力を結束して、出力電流を増大させることができます。これにより、MAX7315Aを高電流LEDインジケータやキーボードバックライトに適用できるようになります。

子ノードでのPWM生成

MAX7315Aは、ホストマイクロコントローラから干渉されることのないプログラム可能なPWM出力も実現します。内臓の32kHz発振器は、PWM波形のタイムベースとして使用されます。プリスケーラと同様に、4ビットのマスターインテンシティ設定は、0~15のすべての出力に対して使用可能な32kHzのPWMインテンシティを構成します。各GPIOの各PWM出力波形は、15個のタイムスロットに分割されます。マスターインテンシティ設定は、PWM生成に使用可能なスロット数を決定します。個別のGPIOには、それぞれアクティブスロットでの波形のデューティサイクルを設定するのに使用される個別のインテンシティレジスタがあります。これは、個別のGPIOピンの出力波形を使用する例で説明します(図2)。

個別のGPIOピンのMaxim MAX7315A出力波形のグラフ図2:MAX7315Aの内部生成された32kHzクロックから分離して動作するプログラム可能なPWM発生器。このPWMのマスターインテンシティは2、個別のGPIOデューティサイクル輝度は2。(画像提供:Maxim Integrated)

マスターインテンシティが2に設定されているため、15スロットのうちスロット1および2のみがPWM生成に使用できますが、スロット3~15はロジックレベル0です。このGPIOの個別のデューティサイクルインテンシティは2に設定されているため、スロット1および2の波形のデューティサイクルは2/16、つまり12.5%です。

PWMマスターインテンシティは0~15に設定できます。ここで、15は15スロット全てが使用できることを意味します。マスターインテンシティ0は、すべてのGPIOでPWM生成が無効であること意味しているため、32kHzクロックが節電のためにオフにされます。

各個別のGPIOは1~16のPWMデューティサイクルインテンシティを構成できます。ここで、16は100%のデューティサイクルで、スロットをロジックハイに設定します。

さらなる柔軟性のために、各GPIOにはPWM波形を反転できる極性ビットがあります。図2は、GPIOの極性ビットが1に設定された波形を示しています。図3のPWM波形は、図2と同じマスターインテンシティとデューティサイクルインテンシティを備えた同じGPIOを示していますが、極性ビットが0にクリアされています。

Maxim IntegratedのMAX7215Aに波形を反転させる極性ビットがあることを示すグラフ図3:Maxim IntegratedのMAX7215A上の各PWM GPIOの、波形を反転させる極性ビット。このPWMのマスターインテンシティは2、個別のデューティサイクルインテンシティは2。極性ビットは0のため、波形が反転される(画像提供:Maxim Integrated)

PWM波形生成のこの柔軟性により、MAX7315AをIIoTエンドポイントから分離した子ノードで使用して、LEDインジケータの調光を制御したり、DCモータ用のパワートランジスタを駆動したり、ソレノイドやアクチュエータを制御したりできます。ノイズのある産業環境にわたってPWM波形を伝達する8本のデジタルラインを実行する代わりに、ホストマイクロコントローラに必要なのはMAX7315Aを構成し、独立して実行させるだけです。

子ノードでの機能拡張

より複雑な子ノードが必要な場合、Maxim Integratedは最大28個のGPIOを備えたMAX7301AAX+Tポートエキスパンダを提供しています。MAX7301AAXは、標準4ピンSPIインターフェースを使用して、IIoTエンドポイントでホストマイクロコントローラにインターフェース接続されています(図4)。この製品は、P31の代替機能としてアクティブハイ割り込み機能もサポートしています。MAX7315AAXは、1つ以上のGPIOの状態が変化した場合、ホストマイクロコントローラへの割り込みを生成するように構成できます。これにより、たった5本の制御ライン(4本のSPI制御ラインと1本の割り込みライン)を使用して、子ノードの27個のGPIOを割り込み駆動型システムで制御できます。

Maxim IntegratedのMAX7301ポートエキスパンダSPIインターフェースの図図4:Maxim IntegratedのMAX7301ポートエキスパンダにはSPIインターフェースがあり、入力または出力に使用可能な最大28個のGPIOピンをサポート。ピン31は、アクティブハイ割り込みとして代替機能をサポートしており、5つの制御信号を使用して27本のGPIOラインを制御可能。(画像提供:Maxim Integrated)

MAX7301AAXは、2.25V~5.5Vという幅広い電源範囲で動作し、大部分のデジタル論理システムに対応しています。GPIOは、内部プルアップ抵抗あり/なしのシュミットトリガ入力として構成できます。GPIOは、最大10mAをシンク可能なプッシュプル出力としても構成できます。これにより、MAX7301AAXは、産業用コントローラなどの他の機器を制御するのに使用されるロジックレベル回路だけでなく、システム監視およびアラーム回路にもインターフェース接続するのに適切なものになります。

結論

設計者がIIoTエンドポイントの物理的到達範囲を拡張すると、子ノードの制御が課題となり、複数の制御ラインを何フィートもの距離にわたって延長すると、EMI、レイアウト、および回路の複雑さに関連した問題を引き起こします。ポートエキスパンダを使用して割り込み駆動型システムで子ノードを制御することにより、開発者は重要な機能をIIoTエンドポイントに追加すると同時に、プリント基板レイアウトを簡素化し、信頼性を高めることができます。

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著者について

Bill Giovino

Bill Giovino氏は、シラキュース大学のBSEEを持つエレクトロニクスエンジニアであり、設計エンジニアからフィールドアプリケーションエンジニア、そしてテクノロジマーケティングへの飛躍に成功した数少ない人の1人です。

Billは25年以上にわたり、STMicroelectronics、Intel、Maxim Integratedなどの多くの企業のために技術的および非技術的な聴衆の前で新技術の普及を楽しんできました。STMicroelectronicsでは、マイクロコントローラ業界での初期の成功を支えました。InfineonでBillは、同社初のマイクロコントローラ設計が米国の自動車業界で勝利するように周到に準備しました。Billは、CPU Technologiesのマーケティングコンサルタントとして、多くの企業が成果の低い製品を成功事例に変えるのを手助けしてきました。

Billは、最初のフルTCP/IPスタックをマイクロコントローラに搭載するなど、モノのインターネットの早期採用者でした。Billは「教育を通じての販売」というメッセージと、オンラインで製品を宣伝するための明確でよく書かれたコミュニケーションの重要性の高まりに専心しています。彼は人気のあるLinkedIn Semiconductorのセールスアンドマーケティンググループのモデレータであり、B2Eに対する知識が豊富です。

出版者について

Digi-Keyの北米担当編集者