絶縁型フライバックトポロジを使用したスイッチモード電源の設計
DigiKeyの北米担当編集者の提供
2018-01-17
どの電気システムにも何らかの種類の電力が必要であるため、電源は適切に特性化され、理解されています。しかし、電源の設計や選択では、サイズの小型化、より高い効率、信頼性の向上、およびモバイルデバイスから電力線駆動ハードウェアまでさまざまなアプリケーションにおける電力の整合性の向上を求める傾向により、エンジニアはまだ課題を抱えています。
5Gなどの高速データ通信システムの出現に伴い、タイミングと雑音余裕マージン要件は非常に極端なものになっています。
スモールフォームファクタでの効率的かつ信頼できる電源供給の問題を解決するために、電源設計者は、フライバックトポロジでSMPS(スイッチモード電源)を使用します。このトポロジは、最大150ワットの電源レベルまで有効で、小型サイズおよび低コストのコンポーネント数の少ない設計を実現します。また、入出力絶縁、および適切な効率性も提供します。
この記事では、スイッチモード電源の運用について説明し、電源を作成するか購入するかを判断するプロセスについても簡単に説明します。また、フライバックトポロジを利用する単一の出力電源の設計について確認し、すぐに利用可能なパーツやコンポーネントを使用したサンプルの設計を示します。
スイッチモード電源
SMPS(切り替え装置)は、スイッチングレギュレータを使用してAC電源またはDC電源の安定した出力電圧を維持する電源です。スイッチングレギュレータでは、「オン」と「オフ」を切り換えるバイポーラ接合トランジスタ、MOSFET、IGBTなど1台以上の半導体デバイスを使用して、出力電圧制御を維持します。これらのデバイスは、固定の「オン」時間と可変周波数、またはより一般的な、固定周波数と可変デューティサイクルで動作できます。スイッチングデバイスは「オン」または「オフ」いずれかのときに低電力消費になるため、効率性が高くなります。デバイスは、状態間の移行時にのみ電力を消費します。また、スイッチング周波数は一般的に数十キロヘルツであるため、トランス、インダクタ、およびコンデンサはかなり小さくなり、高い体積効率を実現できます。
SMPSの利点は、EMI(電磁干渉)の可能性によって相殺されます。これはスイッチング過渡が原因で、コンポーネントの選択、レイアウト、シールドを慎重に行うことで改善できます。その結果、SMPSの利点は欠点をはるかに上回り、最も一般的に使用されるようになっています。リニア電源は電源感度の高い電子機器アプリケーションのみに使用されています。
SMPSトポロジ
SMPSは、さまざまな回路設計またはトポロジで実現できます。一般的に使用されているトポロジは10を超えています(表1)。
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表1:一般的に使用されている10のスイッチモード電源トポロジ(データ提供:DigiKey)
フライバックトポロジ
フライバックコンバータは最も一般的に使用されているSMPS回路です(図1)。

図1:単一のMOSFETスイッチとフライバックトランスを使用したフライバックコンバータの機能図。(画像提供:DigiKey)
フライバックトポロジの主要な利点はシンプルさです。特定の電力レベルでは、このトポロジがSMPSトポロジの中でコンポーネント数が最も少なくなります。電源にはDC電源またはAC電源から電力を供給できます。ACライン(主電源)から動作するように設定されている場合、ラインは一般的に全波整流されています。入力電源(Vi)はDCです。
回路の中心はフライバックトランスです。従来の変圧器巻線とは異なり、フライバックトランスの一次巻線および二次巻線は同時に電流を通電しません。これは、巻線上のドット表記および二次側の直列ダイオードで示されているように巻線の位相が逆になっているためです。
フライバックトランスを使用すると、いくつかの利点があります。1つ目は、電源の一次側と二次側は電気的に絶縁されているという点です。絶縁によって一次側からの過渡のカップリングが削減され、接地ループが排除されて、電源の出力極性における柔軟性が高まります。
トランスを使用すると、電源で複数の出力電圧を生成できます。各電圧の追加の巻線がトランスに追加されます。制御は単一出力のみにもとづき、二次出力は通常ローカルで制御されます。
回路の動作は、スイッチ(MOSFETなど)をオンにすることから始まります(図2)。

図2:2つの動作モードそれぞれに対する主要波形を示すフライバック電源の動作。(画像提供:DigiKey)
スイッチがオンの場合、VDRAINはゼロボルトに近くなり、電流IPはトランスの一次巻線を流れます。エネルギーはトランスの磁化インダクタンスに保管されます。この電流は時間に伴って線形に上昇します。二次側では、直列ダイオードが逆バイアスされ、二次側に流れる電流はありません。出力キャパシタに保管されているエネルギーによって電流が出力に供給されます。
MOSFETスイッチがオフの場合、トランスに保管されたエネルギーは、ダイオード経由で出力キャパシタと出力負荷に出力されます。二次電流は高い値から始まり、線形に下がっていきます。スイッチをもう一度オンに前に二次電流がゼロまで低下すると、電源はDCM(不連続電流モード)電源と呼ばれます。二次電流がゼロまで低下しない場合、電源はCCM(連続電流モード)電源と呼ばれます。インダクタに保管されているエネルギーは各スイッチングサイクルで完全に放電されるため、DCM電源では小型のトランスを使用できます。さらに、電源は一般的に安定しており、生成されるEMIが削減されます。
トランスの漏れインダクタンスに保管されているエネルギーは、スイッチがオフのときに一次側を流れ、入力クランプまたは「スナバ」回路によって吸収されます。これは高い誘起電圧から半導体スイッチを保護するための機能です。電力はスイッチが「オン」と「オフ」の状態を移行している間にのみ消費されます(図3)。

図3:MOSFETスイッチの電圧および電流波形を瞬時電力消費量とともに示すフライバック電源の測定値。(画像提供:DigiKey)
図3の上のトレースは、フライバック電源のMOSFETスイッチを通した電圧です。色付きのオーバーレイはMOSFETの状態を示します。青のオーバーレイはデバイスが伝導していることを示し、赤の領域はデバイスがオフであることを示しています。中央のトレースはデバイスを通る電流です。下のトレースは、印加電圧と結果の電流の積として計算された瞬時電力量を示しています。電力消費が最も大きくなるのは、スイッチ移行時であることが分かります。トレース表示の下の計測値は、(左から右へ)電源オン時、伝導時、電源オフ時、オフ状態電力損、およびすべてのゾーンにおける合計電力損を示します。
コントローラ/レギュレータ
図(再び図2)に示すMOSFETなどのスイッチングデバイスは、コントローラまたはスイッチモードのレギュレータで駆動されます。ほとんどの場合、コントローラはPWM(パルス幅変調)波形をスイッチの制御要素(MOSFETの場合はゲート)に適用されます。電源の出力はカップリングしてコントローラに戻され、一定の出力電圧を維持するためにゲート駆動信号のデューティサイクルが変わります。そのため、コントローラはフライバックコンバータの周りに閉ループ制御システムを形成します。
コントローラは、過負荷、過電圧、または低ライン条件から電源を保護するなど、複数の補助機能も処理します。また、電源の起動も管理し、適切に管理された(「ソフト」)起動を確実に実行して、初期の電流と電圧過渡を最小に抑えます。
SMPS設計
Texas InstrumentsのWEBENCH Power Designerなど、いくつかの半導体コンポーネントサプライヤがスイッチモード電源の設計に役立つ設計ツールを提供しています(図4)。

図4:Texas InstrumentsのWEBENCH Power Design Centerの最初のページには、25ワット、5Vのフライバック電源のSMPS設計向けの基本仕様が示されています。(画像提供:DigiKey)
設計は、ユーザーが電源の電圧範囲、目的の出力電圧、および電流の電力仕様を入力することから始まります。この例の設計目標は、絶縁型トポロジでACから動作する5V、5Aの電源です。さらに複雑なマルチ出力電源に対応する高度な電源設計ツールもあります。
この時点から、ソフトウェアが一連の設計を開始し、ユーザーにコントローラの選択を求めます。ユーザーは各設計を確認して、回路図、BOM(部品表)、効率性、および10個の関連回線仕様を確認できます。
この例では、Texas InstrumentsのUCC28740フライバックコンバータが選択され、設計の回路図が表示されています(図5)。

図5:WEBENCHで示された光学的に絶縁されたフィードバックを使用した25ワットのAC SMPSの回路図(画像提供:DigiKey)
回路図のいずれかのコンポーネントをポイントすると、詳細なパーツの説明が示され、代替コンポーネントを選択できまます。コントローラ(U1)は、CEL PS2811-1-F3-A光遮断器を介して出力からフィードバックを受け取ります。このフィードバック方式では、回路の一次と二次の選択間で電気的絶縁を維持します。コントローラは電源スイッチM1(STMicroelectronicsのSTB21N90K5 900V、18.5AのMOSFET)にPWM駆動の信号を提供します。設計ツールではフライバックトランスを選択または設計することもできます。
設計概要ページには主要な設計要素の概要が示されます(図6)。

図6:設計の概要には、提案される設計のすべての要素がまとめられています。(画像提供:DigiKey)
オプティマイザの[Tuning]セクションで、ユーザーは設計を最適化して最小のBOMコスト、最小のフットプリント、または最大の効率化を実現できます。このツールを使用すると、経験の浅い設計者でも複数の設計を見直したり、コンポーネントの変更による影響を確認することができます。
作成または購入の選択
エンジニアがSMPSを経験していない限り、学習曲線が存在します。製品化までの時間が重要な問題である場合は、標準の電源を購入するか、カスタム電源設計の契約を結ぶことをお勧めします。時間に余裕があり、技術スタッフも揃っている場合、特に複数のプロジェクトで電源が必要な場合は、電源を設計する価値があります。繰り返しSMPS設計に触れることで、設計スタッフは必要な専門知識を得ることができます。
まとめ
スイッチモード電源は、高い効率と小型サイズを実現します。150ワット未満の電源レベルの場合、フライバックトポロジ電源を使うと、複数出力、少数のコンポーネントおよびライン絶縁の利点があります。
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