スマートなハイサイドドライバを使用して爆発を防止

半導体企業に勤めるのはとても楽しいことです。嬉しいことに、これまでコンサルティングの仕事を除いて5社の半導体企業に勤めてきました。すべてが技術開発の最先端または最前線にあり、非常に先端的なビジネスです。半導体ビジネスの西部開拓時代とも言える1990年代は、その先端性が特に際立っていました。技術の限界が週ごとに打ち破られ、半導体物理理論のブレークスルーはマジックにも見えました。

今私は、いろいろな名言を記録していることで知られています。これまで仕事で聞いたトンチンカンで変な発言や会話(「10時の会議が始まるのは何時から?」など)を書き留めています。半導体のプロは変なことを言うものです。

あるときアナログ半導体の設計技術者が、顧客の大手自動車企業との会合の席で立ち上がって、とてもゆっくりと「3つのことを述べたいと思います」と切り出しました。そして「最初の1つは、重要ではありません。もう1つは、社内の秘密なのでここでは言えません。そしてもう1つは、忘れました」と話して座ったのです。会議の参加者はどんな顔だったでしょう。

人間が半導体のようにスマートとは限らない

ときとして、最も印象に残る瞬間は、工場での製造に携わる人々との対話で訪れます。私はかつて、小型のハイサイドドライバのプログラムマネージャだったことがあります。当時この新しいスマートな半導体は、技術者にとって設計の労力を大幅に節約できるという特長で、広く知られ始めていました。ハイサイドドライバは小さいながらもスマートで、短絡検出など、回路やデバイスの故障も防御できました。

私が欧州のある品質保証(QA)テスト技術者と電話で話したのは、業界の西部開拓に相当する頃でした。私は経験上どの会社のテスト技術者も、最も聡明な部類の人々として尊敬しています。QA技術者はチップの最初のエンジニアリングサンプルを出荷するとき非常に重要なスタッフです。QA技術者がそのチップの良し悪しを判断するからです。そのQA技術者と交わしたのは、次のような会話でした。

ビル: 「ところで、うちの最新ハイサイドドライバはどんな具合?」
QA: 「実は、短絡保護に問題があるんだ」
ビル: 「え、どんな問題?」
QA: (暫く黙って)「チップが、爆発するんだ」
ビル: 「はああ?!?!」
QA: 「でも心配ないよ。チップが良好かどうかテストするから」
ビル: 「ちょっと待って、何のテスト、何をするつもり...?」
QA: (自慢げに)「チップを短絡するのさ。もし爆発しなければ、合格だよ!!!」

断罪されないように企業名と製品名は明かしません(心当たりがあれば、あなたです)。後で知ったのですが、ハイサイドドライバごとにテスト装置で短絡し、もし爆発すればQA技術者は歓声を上げてアルコールを一口飲むのだそうです。(飲酒しながらのテストはダメです。)

今では誰かがハイサイドドライバを話題にするたびに思わず笑ってしまいます。

最新のハイサイドドライバはさらにスマートになっており、短絡保護だけでなく、負荷とグランド間の接続が切れる不具合や潜在的な熱による故障も検出します。

図1: STMicroelectronicsのISO8200BQはTFQFPN32パッケージで提供され、5.6A時に45Vに対応するしっかりしたVCCパッドを備えています。これにより、オクタルハイサイドドライバで最大0.7Aを8チャンネルのそれぞれに供給できます。(画像提供:STMicroelectronics)

STMicroelectronicsは素晴らしいハイサイドドライバシリーズを常に提供しており、大半のマイクロコントローラに簡単に接続できます。たとえばISO8200BQオクタルハイサイドドライバは、私が90年代に仕事を共にした人々の何人かよりずっと多才です。8チャンネルのそれぞれには25°Cで0.11ΩのRDS(ON)定格があり、負荷が誘導性、容量性、または抵抗性のいずれでも0.7Aに対応します。もちろん、短絡保護を備えているので爆発することはありません。各チャンネルには過温度保護もあるので、過熱しません。

ISO8200BQは、大半のマイクロコントローラの8ビットポートに簡単に接続できます。これにより各チャンネルの独立した制御に対応し、必要な外付け部品の数も少なくて済みます。ISO8200BQにはグローバルな出力イネーブルOUT_ENが含まれています。ローに設定されると、すべての出力をディスエーブルにします。これにより、マイクロコントローラがすべての負荷をオフにできるようにすることでアプリケーションの安全性が高まり、産業環境で物が爆発するのを防ぐために役立ちます。

このデバイスにはアクティブローのLOAD(LOAD\)信号があり、入力ピンIN[1:8]ですべてのデータをチャンネルロジックバッファにラッチします。LOAD\信号がローの場合、データは8つのチャンネルロジックバッファに渡されます。LOAD\信号がハイになると、すべてのデータはバッファにラッチされます。ハイサイドドライバ出力OUT[1:8]は、アクティブローSYNC(SYNC\)信号がローになるとき8つのチャンネルロジックバッファの状態と一致し、SYNC\信号がハイになるとドライバの状態がラッチされます。

LOAD\とSYNC\の両方が常にローの場合は、ISO8200BQは一般的なハイサイドドライバのように動作し、IN[1:8]の信号は直ぐにOUT[1:8]に反映されます。

ガルバニック絶縁は、デバイスの5Vのロジック側をデバイスの高電圧48V側から電気的に分離することで、あらゆるものを大幅に安全にします。これにより回路の信頼性と安全性が高まります。

このように、どのような負荷でも駆動が容易になり、もし爆発しなければ(このままで)OKです。

著者について

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Bill Giovino氏は、シラキュース大学のBSEEを持つエレクトロニクスエンジニアであり、設計エンジニアからフィールドアプリケーションエンジニア、そしてテクノロジマーケティングへの飛躍に成功した数少ない人の1人です。

Billは25年以上にわたり、STMicroelectronics、Intel、Maxim Integratedなどの多くの企業のために技術的および非技術的な聴衆の前で新技術の普及を楽しんできました。STMicroelectronicsでは、マイクロコントローラ業界での初期の成功を支えました。InfineonでBillは、同社初のマイクロコントローラ設計が米国の自動車業界で勝利するように周到に準備しました。Billは、CPU Technologiesのマーケティングコンサルタントとして、多くの企業が成果の低い製品を成功事例に変えるのを手助けしてきました。

Billは、最初のフルTCP/IPスタックをマイクロコントローラに搭載するなど、モノのインターネットの早期採用者でした。Billは「教育を通じての販売」というメッセージと、オンラインで製品を宣伝するための明確でよく書かれたコミュニケーションの重要性の高まりに専心しています。彼は人気のあるLinkedIn Semiconductorのセールスアンドマーケティンググループのモデレータであり、B2Eに対する知識が豊富です。

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