テレマティクスでエンジンの故障が診断可能に

著者 Tawfeeq Ahmad(タウフィーク・アハマド)

DigiKeyの北米担当編集者の提供

ディーゼルエンジンは、産業、鉱業、医療、建設、データセンター、銀行、電気・ガス・水道事業などさまざまな用途で、欠かせないシステムコンポーネントとなっています。エンジンの故障やダウンタイムが発生すると、金銭面で実害が生じる可能性があります。このため、ディーゼルエンジン用のスマートモニタリングソリューションの採用が増えてきました。

なぜエンジンにテレマティクスが必要なのでしょうか?

従来、ディーゼルエンジンの監視やメンテナンスは現場において手作業で行われていたため、関連データの不足により、産業界、レンタル会社、お客様にとって大きな損失となっていました。ディーゼルエンジン用テレマティクスは、安定した運転を実現します。

テレマティクスは、エンジン出力、燃料消費量、位置情報、使用時間など、さまざまなパラメータを可視化します。これらのパラメータを把握することで、メンテナンススケジュールの最適化や、発電機の稼働停止の防止に役立てることができます。また、テレマティクスは、予測分析、ユーザーアラート、インテリジェントディスパッチなど多くの有効な機能を提供するソフトウェアから、さらなる分析を提供します。これらの強力なメトリックを活用することで、個人ユーザーおよび法人ユーザーは大幅なコスト削減、より高い投資利益率(ROI)、顧客サービスの向上を実現することができます。

エンジンの診断データ

テレマティクスデバイスは、オンボード診断システムからデータを取得し、マシンの異常有無、性能、ステータスに関する有益な情報を提供します。診断情報には、燃料消費量、エンジン稼働時間、出力状態などが含まれます。

通常、これらの結果データは、ソフトウェアシステムでユーザーに読みやすく表示されます。このようなシステムは通常、任意のデバイスからアクセスすることが可能です。スマートテレマティクスソリューションは、データをオンラインで送信するだけでなく、検出されたイベントに関するレポートをSMSで送信、通知します(図1)。テレマティクスソリューションで解決できる問題としては、メンテナンスのスケジュール管理や盗難機器の回収などがあります。

画像:検知して当該担当者に通知できるイベントの例図1:検出されて、必要に応じて当該担当者に通知されるイベントの例(画像提供:iWave Systems

スマートモニタリングソリューションがエンジンメーカーにとって必須である理由を以下に挙げます。

  • 拠点間の重要なパラメータを継続的に監視することで、性能が最適化可能に
  • ディーゼルエンジン性能のリアルタイム分析と正確で詳細な洞察によって、意思決定が改善可能に
  • 問題となる前に対処することで、顧客満足度の向上が可能に
  • エンジンの故障や誤操作をユーザー定義のSMSで警告可能に
  • 情報の分類(地域別/モデル別/販売業者別)が可能に
  • 燃料消費量、燃料盗難、不正使用を追跡することで、利益率の向上が可能に。また、手動の操作に依存していないため、運用コストの削減も可能に

堅牢なテレマティクスハードウェアの重要性

ディーゼルエンジンは、過酷な条件や厳しい環境の中でも機能します。エンジンを効果的に追跡するには、エンジンが設置されている場所と同じ厳しい条件で動作するように設計されたテレマティクスソリューションが必要です。

テレマティクスハードウェアは、エンジンに接続するために、CAN、RS232、RS485などのコネクティビティオプションが組み込まれています。また、LTE Cat-4、LTE Cat-M1、Wi-Fiなど、さまざまなワイヤレスコネクティビティオプションが、設置エリア別に用意されています。

堅牢なテレマティクスデバイスは、産業、ヘビーデューティ、電気・ガス・水道の用途で一般的である、厳しい屋外環境に対応するように設計されています。テレマティクスデバイスは、屋外に設置できて揺れや衝撃にも耐えることができる堅牢な外装が特徴です。国際規格IP67に準拠した設計により、固体・粉塵・偶発接触・低温・水などの侵入に耐える強度を備えています。

ディーゼルエンジン監視用iWaveハードウェア

iWave Systemsのテレマティクスソリューションプロトコルスタックの革新的なポートフォリオは、あらゆるエンジンと連携することで、重要な側面を遠隔監視し、重要なパラメータに関する情報をリアルタイムで提供するように設計されています。iWave Systems頑丈なテレマティクスデバイスは、燃料消費量、ディーゼルエンジン稼働時間、燃料補給、異常有無、バッテリ電圧、冷却水レベル、圧力、温度、エネルギーなどのさまざまなパラメータをシームレスな運用のために監視するインテリジェントセンサとともに、ディーゼルエンジンに取り付けることができます。

図:ディーゼルエンジンに取り付けられたセンサが、iWaveのテレマティクスデバイスにデータを送信します(クリックして拡大)図2:ディーゼルエンジンに取り付けられたセンサからiWaveのテレマティクスデバイスに送信されたデータが、ウェブに中継されることで、ユーザーがアクセスできるようになります。(画像提供:iWave Systems)

センサがiWaveのゲートウェイデバイスと通信することで、これらのデータがインターネット経由でサーバーやクラウドに送信されます(図2)。ディーゼルエンジンを監視するセンサは、4Gワイヤレス技術で動作しています。エンジンパラメータは、ユーザー対話型のウェブアプリケーションやモバイルアプリケーションを通してリアルタイムで確認できるので、時と場所を選ばずにレポートを作成することができます。遠隔監視プラットフォームにより、複数の拠点で24時間365日、機器を監視できるようになり、問題に対処することが可能になっています。

ディーゼルエンジンからのパラメータ収集には、SAE J1939プロトコルスタックが使用されます。このスタックをiWaveが開発するに当たって準拠した規格は、ディーゼルエンジンからのデータ収集に必要なSAE J1939プロトコルのすべての仕様をサポートしているANSI Cでした。このスタックは、拡張された29ビットのCAN識別子で動作し、すべての標準ボーレート(100kbps、125kbps、250kbps、500kbps、1000kbps)をサポートしています。

ディーゼルエンジンと連携するテレマティクスゲートウェイデバイスには、以下のようなメリットがあります。

  • エンジンに関連するさまざまな重要パラメータを監視可能
  • オプションでセンサを追加可能
  • セキュリティが保護されたデータストレージと分析機能
  • 燃料の盗難を防止可能
  • マシン稼働時間を監視可能
  • 燃料の消費量と排出量を記録可能
  • 緊急時でも燃料バランスを維持可能

iWaveでは、時と場所を選ばずにエンジン全体を監視・診断できる、拡張性の高いソリューションを提供しておりますので、ユーザーは安心していることができます。iWaveの予測技術により、発電機が、非常時でも途切れることなく機能する、良好で正常な状態にあることが保証されるとともに、燃料の盗難や発電機の故障も防止されます。

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著者について

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Tawfeeq Ahmad(タウフィーク・アハマド)

Tawfeeq Ahmadは、iWave Systems Technologies Pvt.Ltd.でプロダクトマーケティングを担当しています。電子機器への情熱とマーケティングやセールスへの関心を持つTawfeeqは、iWaveの幅広い組み込みの専門知識を活用して、世界中の組織が製品開発のサイクルを短縮し、効率化を図る支援をすることを目指しています。エレクトロニクスおよび通信の学士号とマーケティングのMBAを持つTawfeeqは、iWave Systemsを製品エンジニアリング組織の世界的なリーダーにすることを目指しています。

出版者について

DigiKeyの北米担当編集者