懸命にではなく、賢く働け

著者 Rich Miron

Digi-Key Electronics の提供

「懸命にではなく、賢く働け」という古い格言は、エレクトロニクスにも当てはまります。エレクトロニクスの世界では、「スマート」が流行語となっています。自動車から家の照明、そして産業プラントおよび工場の稼働の仕方に至るまで、何もかもが「スマート化」に向かっています。この「スマート」な技術は、急速に第4次産業革命を推進する駆動力となりつつあります。

モノのインターネット(IoT)とビッグデータの台頭により、デバイスとインフラストラクチャ間の通信レベルが向上し、リアルタイムに意思決定を行えるようになりました。今では、新しい技術はどれもが「スマート」という言葉で始まるようです。スマートフォン、スマートメータ、スマートウォッチ…何もかもがスマートになってきています。

昨年ニュルンベルグで開催されたEmbedded Worldに出展したTexas Instruments(TI)のブースでは、この「スマート」というテーマに注目していました。このブースでは、4つのアプリケーションエリアにスポットライトを当てて、スマートカー、スマートビルディング、スマートファクトリおよびスマートシティ向けのさまざまな技術の実例を紹介しました。この記事では、今後のソリューションのニーズと要件を満たす製品の設計を支援する、一連のTI製品をご紹介していきます。

MSP-EXP432P4111 - SimpleLink MSP432P4111 LaunchPad開発キット

このキット(図1)では、内蔵の高精度ADC、低電力動作、2MBの内蔵フラッシュの利点を活かして高精度センサノードアプリケーションを開発し、複数のワイヤレスコネクティビティオプションをシームレスに実装することができます。このキットで採用されているMSP432P4111マイクロコントローラ(MCU)には、48MHz Arm® Cortex®-M4F、2MBのフラッシュと256kBのSRAM、最小120μA/MHzの低電力動作でのアクティブパワーと850nAのスタンバイ、16ビット分解能の高精度SAR ADC、および320セグメントLCDが組み込まれています。

Texas InstrumentsのSimpleLink MSP432P4111 LaunchPad開発キットの画像

図1: Texas InstrumentsのSimpleLink MSP432P4111 LaunchPad開発キット(画像提供:Texas Instruments)

LAUNCHCC3220MODASF - SimpleLink Wi-Fi CC3220MODASF LaunchPad開発キット

LAUNCHCC3220MODASFは、オンボードアンテナを搭載したCERTIFIED® シングルチップワイヤレスマイクロコントローラモジュールであるCC3220MODASFが主な特長です。このMCUは、1MBのフラッシュ、256KBのRAM、拡張セキュリティ機能を搭載しています。この開発キットは、すぐに使えることを想定したオンボードのエミュレーションおよびセンサを搭載しています。

BOOSTXL-CAPKEYPAD

BOOSTXL-CAPKEYPAD評価モジュール(EVM)は、CapTIvate技術を採用したMSP430FR2522静電容量式タッチセンシングMCU向けの使いやすいプラットフォームです。このEVMには、 1) LaunchPad開発キットと併用する、2) CapTIvate開発キット(MSP-CAPT-FR2633)と併用する、または 3) CapTIvateプログラマボード(CAPTIVATE-PGMR)と併用する、という3つの使い方があります。

CAPTIVATE-METAL

CapTIvateメタルタッチパネル(図2)は、CapTIvate開発キット(MSP-CAPT-FR2633)向けのアドオンボードです。設計者やエンジニアはタッチオンメタル技術を評価することができます。この静電容量式タッチセンシング技術では、真鍮、ブロンズ、ステンレススチール、アルミニウム合金を使用してエレガントなタッチモジュールを設計できます。

Texas InstrumentsのCapTIvateメタルタッチパネルの画像

図2: Texas InstrumentsのCapTIvate開発キット(MSP-CAPT-FR2633)向けCapTIvateメタルタッチパネルアドオンボード。(画像提供:Texas Instruments)

CapTIvateタッチ技術を採用したTIのMSP430 MCUを使用すると、静電容量式タッチメタル入力の柔軟性、革新性、および信頼性を家電製品からポータブルエレクトロニクスに至るまでの用途にもたらすことができます。

EVM430-FR6047

超音波センシングアプリケーション(例:スマート水量計など)向けに設計されたMSP430FR6047 MCUの評価と性能を支援するため、TIは、EVM430-FR6047評価キットを提供しています。超低電力のMSP430FR6047 MCUは、高精度で正確な超音波測定を実行できる超音波センシングアナログフロントエンドを備えたデバイスです。

MSP-EXP430FR2433 - LaunchPad開発キット

LaunchPad開発キットは、MSP430FR2433バリューラインセンシングMCUをベースとする、使いやすいEVMです。超低電力MSP430FR2xバリューラインセンシングMCUプラットフォームでの開発を予定している場合は、プログラミング、デバッグ、エネルギー測定を行うためのオンボードデバッグプローブなど必要なすべての機能が付属しているこのキットが役立ちます。

MSP-CAPT-FR2633 - MSP CapTIvate MCU開発キット

このキットは、静電容量式タッチ技術を採用したMSP430FR2633マイクロコントローラを評価するための包括的な使いやすいプラットフォームです。このキットには、MSP430FR2633ベースのプロセッサボード、Code Composer Studio IDEのエネルギー消費を測定するためのEnergyTrace技術を備えたプログラマ/デバッガボード、および自己静電容量、相互静電容量、ジェスチャ、および近接センシングを評価するためのセンサボードが含まれています。

LDC1314KEYPAD-EVM

このEVM(図3)は、非接触型の16ボタンマルチ機能キーパッドを実装するパッケージで、LDC1314の誘導センシング機能を評価するために使用されます。この低コストソリューションは、標準のPCB技術とともに、LDC1314だけでなくLDC1312LDC1612、およびLDC1614と組み合わせて使用できる製造が容易なコンポーネントを使用しています。

Texas InstrumentsのLDC1314KEYPAD-EVMの画像

図3: Texas InstrumentsのLDC1314KEYPAD-EVMは、LDC1314の誘導センシング機能の評価に使用されます。(画像提供:Texas Instruments)

LDC1614EVM

LDC1614 EVMには、LDC1614の4つのチャンネルに接続する2つのサンプルPCBセンサコイルが含まれています。MSP430マイクロコントローラを使用して、LDCとホストコンピュータのインターフェースを実現します。このEVMでは、誘導センシング技術によって導電性のターゲットの存在、位置または組成の検知および測定を行うことができます。

TMP116EVM

TMP116EVMにより、TMP116ファミリを簡単に使い始めることができます。TMP116デバイスは、EEPROMを内蔵した高精度デジタル温度センサです。このファミリは、20°C~42°Cの範囲で±0.1°C、および0°C~85°Cの範囲で±0.2°Cの最大精度を持つ16ビット分解能を備えています。

TMDSECATCNCD379D

Beckhoff ET1100 EtherCATスレーブコントローラ(ESC)と800MIPS Delfinoマイクロコントローラを備えるこの評価ボードは、C2000 MCUリアルタイム制御およびリアルタイムEtherCAT通信を可能にします。このボードは、ソフトウェアプロジェクトについての理解を深めるためにスタンドアロンハードウェアとして使用したり、サーボサンプルアプリケーション向けにDesignDRIVE IDDKと組み合わせたりすることができます。TMDSECATCNCD379DをDesignDRIVE IDDKと組み合わせて2ボードハードウェアソリューションとして使用する場合は、付属しているET1100用のソフトウェアドライバとC28x用のスレーブスタックアダプテーション層が役立ちます。

TIDA-01476 – TIリファレンス設計

このリファレンス設計を使用して、IoTゲートウェイとクラウドデータプロバイダに接続可能な産業用センサクラウド間エンドノードの作成が実現されます。この設計には、TIのナノパワーオペアンプ、コンパレータ、およびSimpleLink超低電力サブ1GHzワイヤレスMCUプラットフォームが組み込まれています。これらのすべてが相まって、配線を必要とせずに電池を長持ちさせる超低消費電力センサクラウド間モーション検知器の有効性が実証されます。

TIDA-01477 – TIリファレンス設計

TIDA-01476と同様に、このリファレンス設計を使用して、IoTゲートウェイとクラウドデータプロバイダに接続可能な産業用センサクラウド間エンドノードの作成が実現されます。この設計に組み込まれているのは、パワーゲーティング用のTIのナノパワーシステムタイマ、低Iq昇圧コンバータ、SimpleLink超低電力サブ1GHzワイヤレスMCUプラットフォーム、および湿度センシング技術です。これらのすべてによって、 デューティサイクルセンサエンドノード向け超低電力メソッドが実証され、最終的に電池寿命が伸びます。

このようなすべてのTI製品に加えて、TE Connectivity(TE)も、広範なスマートコネクティビティソリューションを提供しています。

ボードレベルシールド(BLS)

アプリケーションでクロストークを最小限に抑え、EMIの影響を低減するのに必要な部品の場合は、設計者がTEの標準的なBLSポートフォリオを入手して問題を迅速に取得し解決することができます(図4)。TEは、標準の冷間圧延鋼材料オプションと、重さが1/3のアルミニウムオプションの両方を提供しています。

TE Connectivityのボードレベルシールドの画像

図4: TE Connectivityのボードレベルシールドの例。(画像提供:TE Connectivity)

防水USB Type-C™コネクタ

最大10Gbpsのデータ、最大100Wの電力、およびオーディオ/ビデオ入力を、単一の接続で提供する単一のソリューションとして、TEはUSB Type-Cレセプタクルを提供しています。USB Type-Cは、今後のUSBアプリケーション向けの次世代ソリューションです。真のIPX8等級に相当するTEの防水USB Type-Cコネクタは、水深1.5メートルで最低30分間、信頼性の高い接続を維持できます。

モノの「スマート化」に関して、この製品およびソリューション群は、どのような役割を果たせるでしょうか?スマートシティについては、アナログおよび混合信号製品とその高性能信号処理、マイクロコントローラデバイス、さらにはセンシング、信号コンディショニング、処理、通信などの全信号チェーンにわたる製品提供を備えたTIの広範なポートフォリオは、シティシステムを統合して「よりスマートな」運用を行うのに役立ちます。スマートシティは、センサ、ゲートウェイ、制御センター、および階層エレメントを持つメッシュネットワーク経由の効率的なクラウド通信に依存しています。それぞれのデータ収集、集約、および意思決定ポイントに独自の要件があるため、柔軟でスケーラブルな半導体ソリューションが必要です。この目的のため、TIは、連携してスマートシティネットワークを実現できるように設計された製品を提供できます。

自動車産業の場合、自動車を単なる燃焼機関から真のスマートカーに変革させるうえでワイヤレス技術が重要な役割を果たします。このため、120年前に自動車が発明されて以来最大の変革の1つが今、起こりつつあります。お客様が迅速に周囲状況を把握できるようシステムレベルのイノベーション、スケーラビリティ、および安全性に関する専門知識を提供することによって、TIはドライビングエクスペリエンスを加速しています。自動車産業という側面で、TIの製品は、先進運転支援システム、インフォテイメント、ハイブリッド/電気自動車、 パワートレイン、ボディエレクトロニクス、および照明向けソリューションで重要な役割を果たしています。

第4次産業革命、つまりインダストリー4.0については、TIの組み込みおよびアナログ製品、システム専門知識、使いやすい設計ツールは、システムとプロセスをデジタル化してよりスマートで効率的かつ安全な工場を可能にします。リアルタイムデータアナリティクス、ビッグデータクラウド、予防的保全、分散インテリジェンス、OPC UA TSN、サイバーフィジカルプロダクションシステム、および製品セントリック製造は、コネクティビティ、電源、セキュリティ、信頼性、および安全性に関連した大きなメリットをもたらす実現技術です。

最後に、TIは、建物をスマート化するための差別化されたソリューションを提供しています。これらのソリューションによって、エンジニアはインテリジェントビルを監視および制御でき、効率的かつ安全でしかも楽しい環境を作り出すことができます。環境発電や予知保全などの機能をビルオートメーションシステムで実現するために、TIは、ソリューションの設計および評価に役立つ広範なデバイスおよびリファレンス設計を用意しています。その他のスマートビルディングアプリケーションとして、高度なHVACおよび照明制御を可能にする、よりスマートなワイヤレスセンシングがあります。より環境に配慮した建物のための最適化されたエネルギー効率およびシステムの信頼性の向上など、その他のメリットもスマートビルディングソリューションによって実現されます。

*TE ConnectivityおよびTEは商標です。

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著者について

Rich Miron

Digi-Key Electronicsのシニアテクニカルコンテンツ開発者であるRich Miron氏は、記事、ブログ、製品トレーニングモジュールの作成と編集に主に責任を持つ技術コンテンツグループに2007年から参加しています。Digi-Keyに加わる前は、原子力潜水艦の計装制御システムをテストし、認定していました。Richはノースダコタ州立大学ファーゴ校の電気電子工学の学位を取得しています。

出版者について

Digi-Key Electronics

ミネソタ州シーフリバーフォールズに拠点を置くDigi-Key Electronicsは、試作および設計段階、量産段階のいずれにおいても、電子部品を卓越したサービスとともにグローバルに提供し、Digi-Keyでは、750社以上の一流メーカーから提供される600万点以上の製品を取り扱っている。