MEMSとECMの比較: マイクロフォン技術の比較

著者 Bruce Rose, CUI Inc.

ウェアラブルからホームアシスタントまで、マイクロフォンを搭載したデバイスが増加しています。こうしたデバイスでは、マイクロフォンでさまざまな音声を正確にキャプチャしています。マイクロフォンを構築する際に最も一般的に使用されるのは、微小電気機械システム(MEMS)マイクロフォンとエレクトレットコンデンサマイクロフォン(ECM)という2つの技術であり、どちらも数多くの使用事例があります。この記事では、両方の技術の基礎、違い、メリットについて説明します。

MEMSマイクロフォン

MEMSマイクロフォンのコンポーネントはプリント回路基板(PCB)に取り付けられ、機械的カバーで保護されます。ケースには機械加工された小さな穴があり、その穴からデバイスに音声が取り込まれます。穴がトップカバーにある場合、そのマイクロフォンは上部ポート設計に分類され、PCBに穴がある場合は下部ポート設計に分類されます。MEMSコンポーネントでは多くの場合、機械式のダイヤフラムを備えており、半導体ダイ上に取り付けられています。

一般的な上部ポートMEMSマイクロフォン構造の図

図1: 一般的なトップポートMEMSマイクロフォン構造。(画像提供: CUI Inc.)

MEMSダイヤフラムはコンデンサを形成し、音圧波がダイヤフラムを振動させます。MEMSマイクロフォンは一般的に、オーディオプリアンプとして機能する2つ目の半導体ダイを備えており、この半導体ダイがMEMSの変化する静電容量を電気信号に変換します。アナログ出力信号が必要な場合は、オーディオプリアンプの出力をそのままユーザーに提供できます。ただし、デジタル出力が必要な場合は、オーディオプリアンプと同じダイ上にA/Dコンバータ(ADC)を組み込む必要があります。パルス密度変調(PDM)は、MEMSマイクロフォンのデジタルエンコーディングに利用される従来型のフォーマットであり、シングルデータラインとクロックだけで通信を実現します。さらに、データの単一ビットエンコーディングにより、受信側は簡単にデジタル信号をデコーディングできます。

アナログおよびデジタルMEMSマイクロフォンのアプリケーション回路図

図2: 左:アナログMEMSマイクロフォンのアプリケーション回路図。右:デジタルMEMSマイクロフォンのアプリケーション回路図(画像提供: CUI Inc.)

エレクトレットコンデンサマイクロフォン

エレクトレットコンデンサマイクロフォン(ECM)の構造は図3に示すとおりです。

エレクトレットコンデンサマイクロフォンの基本構造の図

図3: エレクトレットコンデンサマイクロフォンの基本構造(画像提供: CUI Inc.)

ECMでは、固定表面電荷を持つ素材がエレクトレットダイヤフラムとして導電性プレート付近に配置され、MEMSマイクロフォンと同様に、誘電体としてエアギャップを持つコンデンサを形成します。音圧波がエレクトレットダイヤフラムを振動させると、静電容量の値が変化し、コンデンサ上の電圧が変化します(ΔV = Q/ ΔC(Q = 固定電荷))このコンデンサの電圧の変動は、マイクロフォンハウジング内のJFETにより増幅および緩衝されます。JFETは通常、外部アプリケーション回路に外部負荷抵抗器とDCブロッキングコンデンサを使用したコモンソース構成で設計されています。

ECMのアプリケーション回路図

図4: ECMのアプリケーション回路図(画像提供: CUI Inc.)

メリットとデメリット

ECMまたはMEMSマイクロフォンのどちらかを選択する場合には、考慮すべき点が数多くあります。最新のMEMSマイクロフォンは急速に市場シェアを広げていますが、それはMEMSマイクロフォンに数多くのメリットがあるためです。たとえば、スペースが限られたアプリケーションに対するソリューションが必要な場合、MEMSマイクロフォンの小型パッケージサイズは魅力的です。それだけでなく、MEMSマイクロフォンアセンブリ内にアナログ回路とデジタル回路の両方を組み込むことで、PCB面積と部品コストを削減できます。

さらに、アナログMEMSマイクロフォンの比較的低い出力インピーダンスと、デジタルMEMSマイクロフォンの出力の組み合わせは、電気的にノイズの多い環境のアプリケーションに最適です。また、高振動環境下では、MEMSマイクロフォン技術を使用することにより、機械的振動によって生成される不快なノイズを軽減できます。半導体構造技術にオーディオプリアンプを追加することにより、厳密に整合された温度安定性の高いMEMSマイクロフォンを製造することができ、複数のマイクロフォンを配列するアプリケーションに最適です。製造プロセス中も、MEMSマイクロフォンはリフローはんだ付け温度プロファイルに対応できます。

MEMSマイクロフォンの増加にもかかわらず、エレクトレットコンデンサマイクロフォンは依然としてさまざまなアプリケーションで選択され続けています。従来の数多くの設計でECMが使用されているため、既存の設計でシンプルなアップグレードを行う場合、ECMを引き続き使用することが、エンジニアにとって最もシンプルなソリューションとなる場合があります。また、ECMは、ワイヤ、ピン、はんだパッド、SMT、ばね接点など、さまざまな終端タイプに対応しているため、設計者は柔軟にECMを実装できます。埃や湿気が問題となる場合は、物理的なサイズが大きく、侵入保護(IP)定格が高いECMソリューションを採用することで、簡単に問題を解決できます。さらに、不均一の空間感度を必要とするアプリケーションでは、一方向性またはノイズキャンセリングのいずれかの指向性を持つECM製品が役立ちます。ECMは動作電圧が広範であるため、電圧レールが緩やかに制御されているアプリケーションにも理想的です。

適切なマイクロフォンの選択

マイクロフォン技術は最終的に、プロジェクトの制約に応じて選択する必要があります。本質的な数多くのメリットにより、MEMSマイクロフォンの人気が高まっているのは周知の事実ですが、パッケージや指向性の選択肢が豊富なECMもさまざまなアプリケーションで活用され続けています。ただし、どの技術を選択する場合でも、電子部品製造会社であるCUIは、幅広いマイクロフォン製品の開発と提供を継続することで、エンジニアがオーディオのニーズに柔軟に対応できるようにしています。

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著者について

Bruce Rose, CUI Inc.

この記事は、CUI Inc.の主任アプリケーションエンジニアであるブルース・ローズ氏によって執筆されました。