ロータリエンコーダの選択:アブソリュート形かインクリメンタル形か?

著者 Jeff Smootは、CUI Incでアプリケーションエンジニアリングおよびモーションコントロール担当副社長を務めています。

ロータリエンコーダは、回転シャフトの速度、移動方向、位置を測定するための、実績があり広く使用されているソリューションです。いくつかの異なるタイプがありますが、主流はアブソリュートエンコーダとインクリメンタルエンコーダの2つです。これらはどのように動作するのでしょう?その違いは何でしょう?自分のアプリケーションに向いているのはどちらでしょう?

エンコーダの動作原理

名前が示すように、アブソリュートエンコーダは、測定しているシャフトの正確な位置を直接出力します。各回転点には、シャフトと共に回転するディスク上にエンコードされた一意の位置情報(値)、つまりデータワードがあります。ディスク上の一意のコードの数によって、表現できる位置精度が決まります。光学式センサ、静電容量式センサ、または磁気式センサを使用して、エンコーダは電源が入ると直ちにコードを読み取り、有効な出力を生成します。センサに位置を決定させるためにリファレンスを設定したり、シャフトを回転させる必要はなく、また一時的に電力が失われても位置を追跡することができます。

アブソリュートエンコーダのディスクの図は、各位置に一意のコードがあることを示しています

図1:アブソリュートエンコーダのディスクには、各位置に一意のコードが付いているので、出力を直ちに有効にしてエンコーダの分解能を決定できます。(画像提供:CUI, Inc.

エンコーダの分解能は、1回転における一意のデータワード数に相当するビット数で表されます。アブソリュートエンコーダにはシングルターンタイプとマルチターンタイプがあり、シングルターンの場合、シャフトの1回転ごとに繰り返される360°回転の位置データを提供します。マルチターンの場合は、エンコーダが軸位置だけでなく回転数も出力できる回転カウンタを持っています。

インクリメンタルエンコーダを考察してみましょう。これは、シャフトの回転に応じてパルスを発生することで動作します。出力は通常、90°位相差の2つの矩形波であり、これらのパルスを追跡したりカウントするのに追加の回路が必要です。

パルス波形を生成するインクリメンタルエンコーダの画像

図2:インクリメンタルエンコーダは、90°位相差のパルス波形を生成します。(画像提供:CUI, Inc.)

インクリメンタルエンコーダの分解能は、1回転あたりのパルス数(PPR)として表されます。これは、いずれかの矩形波出力からの高パルスの数に相当します。PPRについてのCUIのブログ投稿を読んで、この問題に関する知識を深めることをお勧めします。

図2をよく見ると、ただ4つの異なる出力状態が繰り返されていることがわかります。このため、インクリメンタルエンコーダは、意味のある位置決め情報を提供するために既知の固定位置を参照する必要があります。この「ホーム」位置が、エンコーダのインデックスパルスです。そして、回転時の相対的な増分変化をインデックスパルスから追跡することにより、シャフトの絶対位置が計算されます。この参照プロセスは、エンコーダの電源を入れるたびに、または一時停電の後に必要となるため、位置を把握する前にシャフトを回転させる必要があります。このプロセスは、初期回転を必要としないアブソリュートエンコーダの位置取得よりも時間がかかります。

アブソリュート形対インクリメンタル形:選択基準

アブソリュートエンコーダは、インクリメンタルタイプよりも複雑であるため、通常はより高価です。価格差は縮小していますが、速度、方向、相対位置の簡単な監視には、通常、インクリメンタルエンコーダが適しています。一方、アブソリュートエンコーダのほうがより良い選択である場合もあります。

アブソリュートエンコーダの最大の強みは、シャフトの位置が維持されるため、原点復帰や較正シーケンスが完了するのを待たずに位置データをすぐに取得できることです。これにより、エンコーダがオフの間にシャフト位置が変わっても、システムを素早く起動したり、電源異常から素早く回復することができます。

アブソリュートエンコーダを選択するもう1つの理由は、機構のアクティブ化または動作前に、起動時の位置情報がすぐに必要になる場合です。このような場合、開始位置から間違った方向にシャフトを回転させると、機器を損傷したり、ユーザーに危険をもたらす可能性があります。

さらに、アブソリュートエンコーダはリアルタイムで真の位置を提供するので、デジタルシステムは中央通信バスを介してエンコーダをポーリングし、最小限の待ち時間で位置を取得できます。インクリメンタルエンコーダの場合、位置を継続的に追跡することはより困難です。直交デコーディングを使用してすべてのパルスを追跡するには、通常、外部回路が必要になります。これは、特に複数のエンコーダを監視する必要がある場合に、ホストシステムのオーバーヘッドを増加させます。

アブソリュートエンコーダが、コードホイールの位置ごとに一意のデジタル「ワード」を生成する画像

図3:アブソリュートエンコーダは、コードホイールの各位置に対して、指定された分解能に相当する一意のデジタル「ワード」を生成します。(画像提供:CUI, Inc.)

さらなる利点としては、アブソリュートエンコーダを使用すると、電気的ノイズに対するシステムの感受性を軽減できることが挙げられます。パルスカウントインクリメンタルエンコーダとは異なり、アブソリュートエンコーダでは、システムがバイナリ出力からエラーチェックコードを読み取ったり、あるいはシリアルバスを介してこれをデジタル的に行うことにより、位置を計算することができます。

また、同じシステム内で複数のアブソリュートエンコーダを組み合わせることも、インクリメンタルエンコーダを使用する場合よりも簡単です。典型的な例としては、ファクトリオートメーションや多軸ロボットがあります。複数のインクリメンタルエンコーダの出力を監視するのは複雑で、かなりの処理能力が必要になる可能性がありますが、個々のアブソリュートエンコーダからの読み取り値は、特に中央通信バスに接続できる場合には、より簡単にインタープリートされます。

アブソリュートエンコーダが有利な場合

ここまでで、アブソリュートエンコーダとインクリメンタルエンコーダの主な違いは理解できたはずです。アブソリュートエンコーダが一般的に使用されるいくつかの応用分野を考えてみましょう。

その中でも、ロボティクス分野で急速な拡大を示しています。遠隔手術など(外科用ロボットアームのモニタリングおよび制御のために大量の正確な位置情報が必要)の医療用から自動化された組立・溶接・スプレー塗装などの産業用ユースケースまで、数々のセクタに浸透しています。将来を見据えれば、在宅支援ロボットの将来性は特にエキサイティングなものがあります。これは、アブソリュートエンコーダによって提供されるスピードと使いやすさから恩恵を受けることでしょう。

業界がデジタル変換を追求し続け、インクリメンタルエンコーダとアブソリュートエンコーダの価格差が縮むと、ほぼ無限の多様なアプリケーションがアブソリュートエンコーダで可能になります。民生機器市場にも数多くのチャンスがあります。自動ゲート、カメラジンバル、冷暖房空調設備のスマート制御、ファクトリオートメーション、車両用電動サブシステムなどのメカニズム制御に使用されるかどうかにかかわらず、アブソリュートエンコーダは機器設計者にとって高性能でますます予算に優しいオプションになりつつあります。

位置フィードバックに関するエンジニアの選択

アブソリュートエンコーダとインクリメンタルエンコーダの性能、価格、ユーザー経験の違いにより、新製品設計に適したエンコーダタイプの選択が不可欠になります。価格差が縮まり、技術が変化し続けるにつれて、インクリメンタルエンコーダと比べたアブソリュートエンコーダの利点は、設計者が位置フィードバック機能を考えた場合、ますます多くの分野で第一の選択になることでしょう。

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著者について

Jeff Smootは、CUI Incでアプリケーションエンジニアリングおよびモーションコントロール担当副社長を務めています。

CUI IncのJeff Smootによって提供された記事です。