高度な圧力センサにより小型IoT設計の精度と分解能を向上

著者 Majeed Ahmad

Digi-Keyの北米担当編集者 の提供

圧力センサは、ドローンや産業用オートメーションなどのIoTアプリケーションで幅広く使用されています。ただし、設計者は、コストを削減して市場投入までの時間を短縮しつつ、デバイスの精度、精密さ、分解能、ノイズ耐性、および温度安定性を向上させるという課題に絶えず直面しています。

これらの課題に対処するため、センサプロバイダは、設計や統合の簡素化に大きく寄与する革新的な新機能、フォームファクタ、統合型エレクトロニクス、および柔軟なインターフェースオプションを導入してきました。

この記事では、最新の統合圧力センサを分析し、それがどのように温度補償や出力精度などの問題に対処しているのかを説明します。さらに、主な設計上の考慮事項と最適なソリューションを紹介し、開発者が迅速に対処するための方法を説明します。

圧力センサの進化

圧力センサはエレクトロメカニカルデバイスとして始まりましたが、±1パスカル(Pa)という非常に小さな圧力差を測定可能なMEMSを使用する半導体ベースの低コストデバイスに取って代わられました。内蔵インターフェースにより、MEMS圧力センサは消費電力を大幅に抑えつつ、I2CまたはSPIリンクを介してマイクロコントローラにデータを送信できます。

MEMS圧力センサでは、フレキシブルメンブレンに力が加えられると、センシング素子に歪みが発生して不均衡が引き起こされ、それが出力に変換されます。MEMSベースのセンサは、絶対圧力範囲と差動圧力範囲の両方を測定し、補償された測定結果と補償されていない測定結果の両方を提供します。

IoT設計向けの圧力センサ

今日の改善により、圧力センサはより高精度、軽量、低コストになり、測定範囲も広がりました。これらのイノベーションは、IoTおよびウェアラブル設計の分野の新しいアプリケーションで必要とされています。

たとえば、MEMSベースの圧力センサは、カロリー消費測定でより高い精度が求められる次世代のスポーツバンドで活用されています。ランナーやサイクリストは、パフォーマンスモニタリングの精度向上を非常に重視しています。圧力センシングがウェアラブルおよびIoT設計に不可欠になりつつあるということは、フットプリントの小型化が必要であるということを意味しています。

小型で低電力の新しいMEMSセンサにより、基板スペースを大幅に節約し、IoT設計の性能と信頼性を向上させることができます。超小型で薄型パッケージのMEMS圧力センサは、スマートフォン、タブレット、スポーツウェアラブルなどの電池駆動のポータブル設計にも適しています。

これらの電池駆動モバイルデバイスの一部では、圧力センサがアクティビティの識別、正確な階数検出、および屋外位置測定などのアプリケーションにおいてGPSを補助し、ときにはGPSの代わりとして機能します。また、これらのMEMS圧力センサにより、さらに正確なデッドレコニング計算が可能になり、ヘルスケアおよび気象モニタリングの分野で新しいアプリケーションが実現しています。

これらの新しいMEMSセンサの好例としては、STMicroelectronicsLPS22HBがあります(図1)。この製品は、絶対圧力範囲が260~1260ヘクトパスカル(hPa)のMEMSナノ圧力センサであり、デジタル出力を提供します。主な特長としては、2.0 x 2.0 x 0.76ミリメートル(mm)の超小型LGAパッケージや、1.7~3.6ボルトの電源で消費電力を3マイクロアンペア(µA)に抑える低電力性能が挙げられます。

STMicroelectronicsのLPS22HB MEMS気圧計の画像

図1: STMicroelectronicsのLPS22HB MEMS気圧計は、2 x 2 x 0.76mmのパッケージを採用し、1.7~3.6ボルトの電源でわずか3µAの消費電力です。(画像提供:STMicroelectronics)

このLGAパッケージには穴があけられており、外部圧力がセンシング素子に到達可能です。このセンサはピエゾ抵抗センサであり、センシング素子と、I2CまたはSPIを介してセンシング素子をアプリケーションにリンクするICインターフェースで構成されます。

LPS22HBは温度および圧力補償を特長としており、デジタルロジックで効率的に圧力および温度データを処理するためのFIFOが内蔵されています(図2)。

STMicroelectronicsのLPS22HBのFIFO機能の図

図2: LPS22HBのFIFO機能は、温度および圧力補償とともにデジタルロジック部分内に収められています。(画像提供:STMicroelectronics)

FIFOバッファは、32スロットの40ビットデータで構成され、圧力および温度出力値を保存します。これにより、ホストはセンサをポーリングし続ける必要がなくなり、一貫した電力節約が可能になります。代わりに、ホストは割り込みからウェイクアップし、FIFOから必要なデータをバーストするだけですみます。

FIFOには7種の異なる動作モード(バイパスモード、FIFOモード、ストリームモード、ダイナミックストリームモード、ストリームツーFIFOモード、バイパスツーストリームモード、およびバイパスツーFIFOモード)があります。これらのモードは、さまざまなレベルの操作性を提供します。たとえば、バイパスモードでは非動作および空の状態を維持しますが、ダイナミックストリームモードではFIFOで利用可能な新規データの数が以前の読み込みに依存しません。

LPS22HBの使用中、電源はピン10(VDD)に供給されます。100ナノファラッド(nF)のデカップリングコンデンサを電源パッドのできるだけ近くに配置することを推奨します(図3)。

STMicroelectronicsのLPS22HBのプリント基板レイアウトの図

図3: LPS22HBをプリント基板にレイアウトする場合、電源用にピン10をVDDに接続し、100nFデカップリングコンデンサを電源パッドのできるだけ近くに配置します。(画像提供:STMicroelectronics)

また、I2Cインターフェースを使用する場合、CS(ピン6)をVDD_IO(ピン1)に接続する必要があります。

ノイズおよび突然の変化の除去

スマートウォッチやスポーツバンドなどの洗練された設計で圧力センサを使用するには、超低ノイズの維持が不可欠です。これは、気圧の急激な変化をもたらす突発的イベントが発生する可能性が高い場合、特に当てはまります。

ノイズに対処するため、Bosch SensortecBMP388気圧センサは無限インパルス応答(IIR)フィルタを搭載しています(図4)。これにより、圧力センサは環境イベントにより発生する突然の圧力変化を除去することができます。

Bosch SensortecのBMP388センサのグラフ

図4: Bosch SensortecのBMP388センサ内のIIRフィルタにより、ドアを閉める際や発砲時などのイベントに対する低ノイズ応答が容易になります。(画像提供: Bosch Sensortec)

BMP388は、スマートフォン、スマートウォッチ、および消費者用ドローンの高度トラッキング向けに設計されています。この低ノイズの24ビット絶対気圧センサは、300~1,250hPaの広範な測定範囲と、±0.66mの相対精度を提供します(図5)。

Bosch-SensortecのBMP388デジタルMEMS気圧センサの図

図5: Bosch-SensortecのBMP388デジタルMEMS気圧センサは2 x 2 x 0.8mmの寸法であり、±0.66mの精度でナビゲーション機器に高度情報を提供するために設計されています。

突然の温度変動などの動的な条件により気圧センサが安定した高度情報を提供できない場合、相補的フィルタを使用するだけでなく、気圧データを加速度センサデータと結合させることもできます。最適な性能を実現するためにセンサ融合技術が必要な場合、Bosch Sensortecは、高精度のステアリングを提供するBMI088慣性計測ユニット(IMU)、および機首方位データを提供するBMM150地磁気センサを用意しています。

極端な温度条件下での圧力測定

精度と分解能は圧力センサの設計と密接に関係しています。ただし、圧力センサは、鉱山内の奥深くから山の頂上までの高度範囲に正確に対応する必要があり、それに応じた極端な温度の変動にも正確に対応する必要があります。しかも、ウェットメディアの互換性を維持しながらこれを実現する必要があります。

ドローンなどのアプリケーションでは、安定性や着陸の精度を高めるために高度情報が非常に重要になります。ただし、圧力センサは、変化する環境の中でこの高度情報を高精度かつ高分解能で提供する必要があります。MEMSデバイスは、独自のアルゴリズムを使用した温度補償により、±1Paの精度を実現しています。これは、5cm以下の高度変化に対応できることを意味します。

温度安定性は、ユーザーが環境を移動するたびに温度が急減に変化するウェアラブルデバイスなど、常時オンのモーションセンシングアプリケーションにおいて特に重要です。NXP SemiconductorMPL3115A2は、これを実現するための方法を示す好例です(図6)。

NXPのMPL3115A2小型ピエゾ抵抗絶対圧力センサの図

図6: NXPのMPL3115A2小型ピエゾ抵抗絶対圧力センサにおいて、圧力および温度センシング動作がどのように補完し合うかを示しています。(画像提供:NXP Semiconductors)

MPL3115A2は、20kPa~110kPaという広範な動作範囲で動作し、地球上のあらゆる地表高度に対応するように設計されています。この製品は、オンチップ温度センサを使用して温度補償されています。さらに、圧力と温度の両方が多重化、増幅、フィルタ処理され、A/Dコンバータ(ADC)に供給されます。次に、式1の数式を使用して高度が計算されます:

式1

条件:

h =高度(メートルおよび数分の1メートル)

p0 =海面気圧(101,326Pa)

OFF_H =現地の気象条件と米国標準大気1976(NASA)を補正するための

等価海面気圧のユーザー入力

p =圧力(Paの整数および分数)

MPL3115A2の主な仕様には、ホストプロセッサへの負担増大を避けるためのオンチップ処理、および安定した出力分解能を実現する40µA/測定秒の標準アクティブ電源電流が含まれます。この製品は、1.95ボルト~3.6ボルトの電源(内部安定化)で動作します。動作温度範囲は、-40˚C~+85˚Cです。

センサプロバイダは、さまざまなアプリケーションシナリオや条件をカバーしています。HoneywellTBFシリーズは適例です。このシリーズの製品は、フラッシュダイヤフラム圧力センサを構成する基本的な力センサで、メディア互換性や低トラップボリュームが重要なアプリケーション向けに設計されています。これらは、輸液ポンプ、ウェアラブル、ドラッグデリバリシステム、ロボティクスなどのアプリケーション向けに設計されています。また、温度補償され、内部較正されています。

注目すべき点は、これらは信号の内部増幅をしないため、分解能は無限であるという点です。代わりに、設計者はこの非増幅信号を活用して、100kPa~1MPaの範囲でアプリケーションごとに必要な最大分解能を取得できます。

他の設計上の考慮事項

圧力センサはIoTの新しいエンジニアリング要件を満たすために設計されていますが、耐久性や化学物質(塩素、臭素、塩水など)に対する耐性などの従来の問題にも対処する必要もあります。湿度感度レベルは、圧力センサエレクトロニクスの保護という枠を超えた別の重要な課題です。加えて、圧力センサは取り付けが簡単で、メンテナンス不要である必要があります。

これらは、Amphenolが提供する14ピンSOICパッケージの面実装圧力センサ、NovaSensor NPAシリーズの設計に関する基準です(図7)。

Amphenolの面実装NPAシリーズの画像

図7: Amphenolの面実装NPAシリーズは柔軟な出力オプションを提供します。(画像提供:Amphenol)

NPAシリーズでは、ミリボルト、増幅アナログ、デジタル出力を選択できるだけでなく、ゲージ、絶対、および差動圧力範囲も選択できます。圧力測定範囲は、10インチの水(H20)(1インチのH20 = 249.0889Pa)~30psi(1psi = 6894.7529Pa)とされています。

結論

圧力センサは、多くのIoTアプリケーションにとって重要な構成ブロックです。IoTデバイスのコストが低下してフォームファクタが収縮し、市場投入までの時間に対する要求が増大する中で、センサメーカーはインターフェースの簡素化だけでなく、センシングおよび補償機能を向上させ、その適応性を高めてきました。

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著者について

Majeed Ahmad

Majeed Ahmad氏は、B2Bテクノロジメディアで20年以上の経験を持つ電子エンジニアです。彼は、EE Timesの姉妹誌であるEE Times Asiaの前編集長です。

Majeedは、電子に関する本を6冊書いています。彼はまた、All About Circuits、Electronic Products、およびEmbedded Computing Designを含むエレクトロニクス設計の出版物に頻繁に寄稿しています。

出版者について

Digi-Keyの北米担当編集者